製造業の技術情報は中小企業が高リスク 経営戦略情報・図面情報は大企業が高リスク
大企業・中小企業の対比というよりも、どのような情報が漏えいしているのかという視点からご覧ください。
データとして持ちだすのか、個人の記憶として持ちだすかについて検証してみます。
記憶として持ち出し可能なものとして、一部の技術情報、M&Aや新株発行等の経営情報が考えられます。
それ以外のものは、データを持ち出しによるものと考えるのが自然です。
日本における技術流出の現状
大企業・中小企業の対比というよりも、どのような情報が漏えいしているのかという視点からご覧ください。
データとして持ちだすのか、個人の記憶として持ちだすかについて検証してみます。
記憶として持ち出し可能なものとして、一部の技術情報、M&Aや新株発行等の経営情報が考えられます。
それ以外のものは、データを持ち出しによるものと考えるのが自然です。
ここで秘密情報管理実務の概略について説明いたします。
まず、会社にどんな秘密情報があるのか情報の棚卸を行います。
その次に、情報の重要度によりレベル分けをします。
そして、情報区分とレベル区分に応じた管理を行うのです。
つまり、正しい秘密情報管理とは、情報区分とレベル区分を分けることからはじまるのです。
グラフのブルー部分以外は、何もしないよりマシですが、適切な管理とはいえません。
適切な管理は、大企業でも約5割、中小企業においては極めて低調となっています。
こうした契約期間は長いほうが企業にとって有利と思われがちですが、
長過ぎたり、無期限とした場合、契約そのもが無効になってしまうことがあります。
つまり、適切な期限を設定して従業員と秘密保持契約を締結するのが正しいのです。
ブルー部分が適切な秘密保持契約と考えられますが、残念ながら極めて低調といわざるを得ません。
中小企業の半分超は秘密保持契約そのものを結んでいません。
従業員と秘密保持契約を結ばない最多理由は、「就業規則対応している」というものです。
実は就業規則の“守秘義務”だけでは不十分です。
入退社時、プロジェクト開始終了時等の機会毎に締結したほうが効果的なのです。
その理由は、営業秘密や技術情報が流出した場合、不正競争防止法という法律の法的保護が受けられるかどうかにあります。
競業避止義務をご説明いたします。
「競業避止義務」とは、労働者は所属する企業と競合する会社・組織に就職したり、競合する会社を自ら設立したりするなどの競業行為を行ってはならないという義務のことです。
一般に在職中は、労働契約における信義誠実の原則にもとづく付随的義務として競業避止義務を負うとされ、
また取締役は会社法365条により、在任中は取締役会の承認なしに会社の営業の部類に属する業務を行うことを禁止されています。
しかし退職後においては、職業選択の自由の観点から競業禁止義務は生じないとされ、
使用者が退職後の労働者にもこれを課す場合は必要かつ合理的な範囲で根拠を明示する必要があります。
取扱いが難しいのですが、技術流出防止・営業秘密管理のためにはもっと活用されるべきです。